灼熱の白夜よりも熱い恋をきみと

「俺達家族は最後まで平和に暮らしたかった。それをお前はっ――」

 あかねは目を背け、父と母に告げる。

「……ちょっと出かけてくるね。すぐに帰るから」

「おいっ! 危ないからやめろ。犯罪もゼロではないんだからな」

 父はすぐさまあかねの外出を止めようとした。

「だけど今はだいぶ減ったでしょ、この番組のおかげで」

 あかねは背を向けたまま力なく反論する。

「あなた、好きにさせてあげて。この時代、皆そうしているじゃないの」

母が落ち着いた口調であかねを擁護する。父はしばし考えてから答える。

「そうか、しかたない……。じゃあ、あまり遅くならないようにな。ところでどこへ行くんだ?」

「いつもの公園よ。行かせてくれてありがとね、パパ、ママ」

 あかねはコートを重ね着し、だるまのようになって外に出る。窓からこぼれる光を跳ね返してきらきらと輝く雪は残酷なほど綺麗に感じられた。この雪はきっと見納めになるのだろうとあかねは憂いた。