すると玄関に立っていたのは見るからに若々しい女性だった。ワンレンの黒髪、行きとどいた上品な薄化粧、可愛らしい花柄のエプロン。

　あふれる若さと美貌、そして上品さ。圧倒的なレベルの高さにかしこまってしまう。

「母さん、今日はお客さんがいるんだ」

　そしてあかねに目を向ける。しおんと目があうとあかねは緊張の面持ちで母にあいさつをする。

「あっ、あっ、あのー、はじめまして。あたし、末広と申します。その……、お姉様の、いや、お母様の、じゃなくてお姉さまの……ああっ、どっちでもいいです、とにかくしおんくんとお付きあいさせていただいてますっ！　ついさっきからなんですが……」

　わけがわからなくなって思いっきり頭を下げる。

　するとあかねのあわてっぷりにその女性はぷっと吹き出し、くすくすと笑う。

「やだ、そんなに緊張しないでね、あかねちゃん……でしょ？　あなたのことはしおんから聞いてるのよ。
　いつか家に連れて来る、っていってたから楽しみに待っていたの」

「そっ、そうなんですか！？」