しおんの家は小高い丘の上の、木々に囲まれた一角にあった。
木々とはいってもこの極夜を越えてきたから、そのすべては樹氷になっていて、まるで氷の世界に足を踏み入れたかのようだった。
そして木造で平屋のしおんの自宅は、まるでおとぎ話に出てくる小人の家を人間サイズにしたような趣のあるものだった。メカオタクのしおんに似つかわしくないその家をみて、あかねは可愛らしさに好感を持った。
しおんがその家の扉を開けると、きぃ、と蝶つがいの軋む音がした。「ただいま」と同時に「おかえり」と、澄んだ女性の声が響く。
「さあ、上がっていいよ。母さんがいるけど」と、しおんにいわれ、あかねはぐっと緊張の色を浮かべる。
変人さんと噂されても学校では首席のエリート。その母親にはじめて会うのだから緊張しないはずがない。
あかねは、しおんくんの彼女ということになっているあたしはどんな冷たい視線で舐め回されるのだろうか、と不安になる。
警戒しながら玄関に足を踏み入れる。
木々とはいってもこの極夜を越えてきたから、そのすべては樹氷になっていて、まるで氷の世界に足を踏み入れたかのようだった。
そして木造で平屋のしおんの自宅は、まるでおとぎ話に出てくる小人の家を人間サイズにしたような趣のあるものだった。メカオタクのしおんに似つかわしくないその家をみて、あかねは可愛らしさに好感を持った。
しおんがその家の扉を開けると、きぃ、と蝶つがいの軋む音がした。「ただいま」と同時に「おかえり」と、澄んだ女性の声が響く。
「さあ、上がっていいよ。母さんがいるけど」と、しおんにいわれ、あかねはぐっと緊張の色を浮かべる。
変人さんと噂されても学校では首席のエリート。その母親にはじめて会うのだから緊張しないはずがない。
あかねは、しおんくんの彼女ということになっているあたしはどんな冷たい視線で舐め回されるのだろうか、と不安になる。
警戒しながら玄関に足を踏み入れる。