灼熱の白夜よりも熱い恋をきみと

 足を取られてよろけた。そこですかさずしおんがぱっと反対の手を差し出しあかねを支える。あかねははっとして早まる鼓動を感じずにはいられなかったけれど、あくまで冷静なふりをした。

「おい、なんかやけに嬉しそうだな。わかった、お前あれだろう、『嫌よ嫌よも好きのうち』っていうことわざ」

「えー、それってことわざなの?」

 あかねはジト目でしおんを見上げる。

「あたししおんくんのこと、別に好きじゃないもん」

 あえてツンな態度を取って体制を立て直す。すとるとしおんは繋いだほうの指にきゅっと力を込めた。そして足を止め、ぐっと小指を引く。

「もう、何よ。また転びそうになったじゃない」

 むっとして見上げると、あかねの瞳に映るしおんは真剣な眼差しで、冷えたその右手をそっとあかねの頬に添えた。

「ひゃっ、冷たい! ちょっとやめてよ」

 するとしおんが口を寄せ、耳元で囁く。

「俺の手は冷たいだろ。だけどきみの頬はあったかい。この寒さの中で味わえる肌の温もりは今だけだ。だからすこしだけ触れさせてもらえないか」