「おいおい、あかねってそんなに積極的な性格だったっけ? ブランコプターにビビってたくせにさ」

 するとあかねはたったった、と軽い足取りでしおんの先を行き、くるっと振り返る。両手を口に当て声を大にしていう。

「そうさせたのはしおんくんだよ」

 そういって肩をすくめて、ぺろっと舌を出した。

「じゃあ、先行ってるね、マシンがなくちゃ虚弱なしおんくん!」

「なんだと、この天才イケメンに向かって!」

「自分で言う? あはははは! しおんくんってやっぱ変な人!」



 あの磁気嵐で気を失った後、あかねとしおんが目覚めると、世界はその姿をがらりと変えていた。会場はひどい地割れの跡があり、それに嵐のような烈風が吹き荒れていた。けれどもその風は今までとは違い、東からやってきた風だった。

 それは地球が自転の速度を元に戻していることを意味していた。

 この地球は奇跡的にも宇宙規模の危機から救われたのだ。願いが届いたんだと皆が歓喜の声を上げた。

 あらゆる電子機器が狂ってしまい時代が百年昔に戻ったような日々がしばらく続いたが、命があればそんなことはささいな問題だった。