人前に出たいと思わないしおんはマスコミから逃げ回り、それがなおさら注目を浴びた。イケメンであることも無駄ではなかった。

 結果として学生一同、しおんの活躍を見直すこととなり、またあかねの当初掲げたしおんのイメージの上方修正も楽々達成されていた。



「あっ、でもね、今日のイベントはなんと、山川先生が出るらしいよ」

「うわー、どさくさに紛れて何でもアリだな、まぁ先生は恋愛禁止の校則、関係ないと思うけど」

「そうよね、教師は恋愛禁止なわけじゃなくて、言い出す勇気がなかっただけってことよね。
 大人になっても好きって言えないもんなんだな~。
 ……ヘヘヘ、あたしは素直に言えちゃうけどね、しおんくんだったら」

「だったら俺はしばらく言わないでおこうかなぁ」

 そういってしおんはそっぽを向く。

「すこしは出し惜しみしないと免疫がついちゃったりしそうじゃん」

「ええっ、なんかつれない! だったら新しいドキドキを考えてよ、しおんくん。クリエイティブなんだからさ。女子を飽きさせないのは一生の課題だよ?」