声にならない声でしおんに尋ねる。するとしおんは西の最果てに浮かぶ夕日に見惚れるあかねと背中あわせに立った。しおんはあかねに手を伸ばし、あかねは誘われるように手を結ぶ。背中を通して互いの温度を感じ取る。あかねの背後でしおんが想いを語る。
 
「きっと今、俺達は同じ意識を共有しているんだ。きみの見た夕日と、俺の見た朝日。
 世界が終わる、そうだったら何でもありだ。こんな愚かな俺と、こんなに眩しいきみの魂が重なったって、神様はこれっぽっちも怒りやしないはずだ。
 俺はほんとうに生まれてきてよかった。世界が燃え尽きたって俺の思いは絶対に消えないからな」

 しおんは熱を込めてあかねに語る。あかねもしおんに思いの丈を伝える。

「しおんくんは愚かじゃないよ。あたしにとっての夜明けだった。だからとっても、とっても大事な希望の光だよ。
 あたし馬鹿だから何もいいこと言ってあげられないけど、ちゃんと気持ちは伝えたい。
 あたし、末広 あかねは、あたしの全部で、魂をかけて、いつまでもしおんくんのことを思っているよ。
 だからこのまま世界が終わったって後悔してない。