灼熱の白夜よりも熱い恋をきみと

 家の角を曲がって裏庭に回りこもうとした瞬間、しおんはぴたりと足を止めた。そして、数歩、後ずさりをした。あかねはしおんの顔に目をやる。
 
「しおんくん……?」

 しおんも視線を腕の中にいるあかねに移す。そしてささやいた声はかすかに震えていた。

「はは、ごめん。一緒にいられなくなっちゃったよ……」

 悲しみを多分に含んだ笑顔をあかねに見せてそういった。あかねはしおんの足を止めた原因がなんなのか、そしてその悲しそうな顔の理由がなんなのか、知るために視線を外界に向けた。
 
 するとあかねの目の前にいたのは、警視監であるあかねの父親だった。しおんをにらみつける鋭い眼差しは首元に突き立てた刃のようだ。後ろには警察官が押し寄せていて、しおんは逃げ場を失っていた。

「娘を返しなさい」

 父の毅然としたひとこと。

「……すまない、あかね」

 そういってしおんはあかねをそっと地面に下ろす。ふたりの手がすっ、と離れた。

 あかねが数歩後ずさりすると、その瞬間を狙っていた男達が幾重にもしおんに馬乗りになる。しおんは息が止まったような苦しみの表情を浮かべあかねに手を伸ばす。