灼熱の白夜よりも熱い恋をきみと

 あかねは思いっきり身をよじって抵抗する。するとブラウスの裾が引き延ばされてビリっと破れた。脇腹があらわになって、それと引き換えに父の手が離れた。
 
 その隙にあかねは裸足のまま玄関を飛び出し、破れたブラウスの裾をなびかせながら必死にしおんの家を目指して走った。

 ……もしも警察に捕まってしまったら、しおんくんと一緒にいられなくなる。このことをしおんくんに伝えなくちゃ。そして一緒に逃げなくちゃ。

 スマートウオッチのスイッチをオンにしてしおんにメッセージを送る。

「はぁはぁにげはぁて」

 余計な息づかいも音声変換されてなぞなぞのようになってしまった。
 
 あかねは一旦消去し、息を落ち着かせてから再度入力。
 
 「逃げてしおんくん。警察にバレてるよ。あたしもしおんくんの家に向かってるとこだから」

 そう入力して送信し、また走り出す。鉛のように重たい足を懸命に進める。
 
 空はこんなに眩しいのに、今の時分はいわゆる丑三つ時だ。さっきよりもさらに気温が上がっている。体力はほとんど残されていないし頭は朦朧とする。そのときだった。

 あっ……。