灼熱の白夜よりも熱い恋をきみと

 それにしてもまさかあたしの最後は凍死だなんて。死ぬ時は素敵な彼氏の腕の中で燃えるように熱いキスをしながら死にたかったのに。

 どうせそんなの、あたしの妄想に過ぎなかったんだ。神様ってひどいひどいひどすぎるぅぅぅ!

 だんだん眠くなり、意識が遠のいていく気がする。

 そのとき、雪の中からブルルルルと不自然な音がした。自然界では聞く事のない人工の音波。プロペラの旋回音のようだ。頭上から聞こえてくる。

 えっ、何、この音。まさか誰か助けに来てくれたの? でもこんなところに人がいるなんて誰も思うはずがないわ。

 けれどもたしかにその音はあかねのほうに近づいてきていた。プシューと脱気の音がすると、その音は鳴りやんだ。続いて雪を踏む足音がする。

 誰か、助けにきてくれたの?

 睫毛にかかる吹雪を拭い、目をこらすと、あかねの目の前にたしかに人の姿があった。ゴーグルを装着していて顔は見えないけれど、背の高い男性のようだ。身をかがめて膝をつきあかねの顔をのぞき込む。

「大丈夫か、あかね」