ねぇ、先輩。もっとこっち向いて




「あれ?」



「凛ちゃん?」



「え?」



振り向いたら、そこには体操着姿の山田美鈴がいた



入学して一緒のクラスになった、同じ小学校だった子だ。



「もしかして美鈴ちゃんも卓球部?」



「うん!よかったぁ知ってる子いて」



「誰もいなかったらどうしようかとおもったよー」



「うん。私も知り合いいなくて焦ってた。」



それもそのはず。仮入部に来ていたのはみんな他の学校の子だったから。と言っても3、4人だけど。



だから、美鈴ちゃんとは小学校の頃からあんまり喋っていなかったけど来てくれてよかった。



そんなことを考えながら美鈴ちゃんとボールで玉突きをしていたら、さっきの地味な先輩が全体に向かって喋った。



「じゃあ、始めようと思います。」



「まず、一年生のみんなには玉突きを出来るようにしてもらいたいです。」




そう言って、地味な先輩が見本をみんなに見せてくれた。



ラケットの上でボールをポンポンするだけだ。



これなら余裕でできるし、なんなら仮入部が始まる前からやっていた。



だからみんなもできるでしょ。