「さてどこから見て回るかな」

「りっちゃん、私、たい焼き食べたい」

「お前には聞いてねぇよ。しかも昨日だって食べてばかりだったじゃねぇか、太るぞ」

「ぬぅ~、食べてばかりじゃなかったもん。ちゃんと文芸部のところでおしゃべりもしていたもん」

二人のやりとりをほほえましく見守る。みんなでどこかに行くことがなかったからほほえましく思える瞬間。あーだこーだ言い争いながらも楽しそう。

「ねぇ梨夜ちゃんだってお腹空いてるよね?りっちゃんが奢ってくれるから遠慮はいらないよ」

「おい、なんで俺が奢ることになってんだよ」

「私のことはともかく梨夜ちゃんを誘ったからには梨夜ちゃんの分はりっちゃんが出すの!」

「べ・・・別にそこまでしてもらわなくても・・・大丈夫です」

「えぇ、遠慮しちゃだめだよ?こういう時は思いっきり甘えるの、いいね?」

「あ、甘える・・・のですか」

「おい、勝手に話を進めるんじゃねぇよ」

「梨夜ちゃんを誘ったのはりっちゃんでしょ?誘ったならエスコートと甘えさせるセットは基本でしょ」