「―――姫芽…」 少し悲しそうな顔。 「いきなり来て、ごめん……」 「別に。平気。 …入る?」 「……うん」 あたしは、何度来たかわからない彰の家へと、足を踏み入れた。 彰の部屋へ入る。 以前来たときと、何も変わらない、彰の部屋。 だけど、ふたりの気持ちは、以前とだいぶ違う気がした。 「…………」 「…………」 「…………」 「…………」 …しばらくの沈黙。