「姫芽ッ。 ねぇ、姫芽ッ」 眠くて意識が朦朧としてるあたしに、莉央が小声で話しかけてきた。 「…」 眠すぎて返事ができないあたしは、 莉央の方へ顔だけ向けた。 「ホラッ! 向こう、見てみな」 莉央はなぜか興奮気味で、 しきりに同じ方向を指さしていた。 「……?」 …なに?眠いのに。 あたしはゆっくりと、莉央が指さした方向へ顔を向ける。