その後、もう一度水族館に再入場して、ペンギンやラッコを堪能した。
はじめて淳之介さんに叱られしばらくしゅんとしていた登生だったけれど、すぐに元気を取り戻し淳之介さんに甘えている。
そんな2人を見ながら、子育てって難しいなと一人落ち込んでしまった。

「登生は本当に海の生き物が好きなんだな」
感慨深そうに言う淳之介さん。

「そうね。理由はわからないけれど、お魚が好きみたい」

姉だって働いていたわけで、そう度々水族館に連れて行ったとは思わない。
動画や映像を見て好きになったのかもしれないけれど、ここまで好きだって言われると登生は本能的に海洋生物に惹かれているのかなって思ってしまう。

「そう言えば、登生はどこで生まれたの?」
「え、どこでって?」
聞かれている意味が分からず淳之介さんを振り返った。

「ほら、最近は水中出産とかあるだろ?」
「ああ。って、水中で生まれたからって海の生き物が好きになる訳ではないと思うけれど」
「そうか」

淳之介さんって、時々面白いことを言う。
きっとこういう人を天然って言うのよね。ちょっとかわいい。