「すみません、お待たせしました」

登生を着替えさせ、私も去年買ったワンピースにカーディガンを羽織った格好でリビングで待つ淳之介さんに声をかけた。

「準備はいいの?」
「ええ」

ハンカチと財布とケータイと、登生がぐずった時ようにお茶とお菓子も少し。
暑いからってTシャツ一枚しか来てくれなかった登生のために前開きのパーカーも一応鞄に入れた。
思ったより大きな荷物になってしまったけれど、3歳児を連れていれば仕方ない。

「じゃあ行こうか」

柔らかそうな生地のパンツにシンプルだけど高そうなTシャツ。その上からはどこかの雑誌で見た覚えのあるオシャレなジャケット。横に並んで歩くのをためらってしまうくらい絵になる淳之介さんがそこにいる。

「本当にいいんですか?」
「当たり前だろ」

玄関に向かっている二人の背中を私は追いかけていた。
ちょうど横を向くと全身が映るほどの姿見が壁に駆けられていて、私は足を止めもう一度見上げる。

はぁー。

「やっぱりやめた方がいいのでは・・・」
どう見ても淳之介さんに釣り合っているようには思えない。

「何言っているの。ほら行くよ」

登生と手を繋ぎすでに玄関を出ようとしている淳之介さん。
こうなったら私も、一緒に行くしかない。