朝登生を送り出した後は掃除と片づけをして、仕事へ行く。
夕方は買い物をして帰って、お風呂掃除と洗濯ものの片づけ。夕方になって夕食の準備をしても、時間は余ってしまう。

不思議だな。
いつもは時間と競争するように家事をこなしているのに、登生がいないだけですることがない。
そして空いた時間ができると、登生はちゃんとご飯食をべたかしら?髪を洗うのが苦手だから嫌だってわがままをいっているんじゃないかしら?歯磨きしたかしら?と考えてしまう。

「ただいま」
「おかえりなさい」

いつもより早めに帰って来た淳之介さんが部屋を見渡す。

「登生はお母様のところよ」
「そうだったな」

やはり、淳之介さんも登生がいなくて寂しいらしい。

「どうぞ、夕食にしましょ?」
「ああ」

いつもなら登生が食べられないような、苦いものや、辛い物は避けて夕食を作る。
それはせっかく作っても食べられないのはかわいそうだと思うからだけれど、今日は2人だから辛くて痺れる麻婆豆腐やゴーヤーの炒め物など大人好みのメニューにしてみた。

「さあ、食べましょう」
「ああ」