「それで、あなたたちはこれからどうするつもりなの?」
「どうするって・・・」

淳之介さんが登生の父親でないことがわかり、登生の実の父親が誰なのかもはっきりした今、これからは登生と淳之介さんと自分のことだけを考えていればいいように思える。
でも、お母様から姉と玄次郎さんの思いを聞いてしまった私と淳之介さんは素直に安堵することができない。

「あなたたちが登生を引き取るって言うなら反対はしないわ。もちろん、璃子さんが一人で育てるつもりなら応援もする。でも、迷っているのなら私に託してもらえないかしら?」
「お母さまに?」
「ええ、幸い私はまだ元気だし、日本よりも海外の方が自由にのびのび育ててやれると思うのよ」
「それは、まあ」
そうかもしれない。

私が一人で登生を育てるとなると、経済的に裕福とは言えない。
仕事にも出ないといけないから、寂しい思いをさせることもあるだろう。
だからと言って、中野本家の子供として育てられることの窮屈さを知っている淳之介さんには迷う気持ちもあるはず。
どちらにしても、簡単に答えは出ない。

「来月まで日本にいるつもりだから、それまでに答えを出してちょうだい」

お母様は私たちの出した結論に従うからと言ってくださった。