ここのところ、色んな意味で小康状態が続いている。
淳之介さんとは忙しくていつもすれ違い生活だし、なぜか荒屋さんもあれ以来何も言ってこない。
もちろん麗華は顔を見るたびに嫌味を連発してるけれど、今のところ受け流せる程度で治まっている。

「それで 、 引っ越しの準備はすすんでいるの? 」
ランチを待つ間、麗華が小声で聞いてきた。

「うん、まあね」
少しづつ準備はすすめている。

麗華には近いうちに淳之介さんのマンションを出ると伝えてある。
マスターにも今月いっぱいでお店を辞めさせてもらうように話をした。
登生の保育園もしばらくはお休みの予定。実家に帰り生活が落ち着いたらきちんと東京引き払わないといけないけれど、まずは淳之介さんのマンションを出るのが最優先。
どんなに説明をしたって淳之介さんが納得しているくれるとは思えないから、私には黙って逃げ出すことにした。