何とか登生を送り出して、いつも通りの出勤。
朝からぐずり気味だった登生に不安を感じながらも、私はお店に出た。

「璃子ちゃん、大丈夫?」
カウンターの中でよろけてしまった私に、マスターが駆け寄って支えてくれる。

最近寝不足気味のせいか、時々立ち眩みがする。
きっと疲れがたまっているんだろうと思うけれど、

「少し座っていなさい」
椅子に連れて行ってもらい、冷たいお水を差し出された。

「すみません」
「いいんだよ。それより、専務に連絡しようか?」
「いえ、大丈夫です」

私だって、本当は会いたい。でも淳之介さんには言えない。
今までだったら2日に1度はお店に顔出してくれていた淳之介さんが、最近は滅多に現れなくなった。
それだけ忙しいってことだろうけれど、やはり寂しい。

カランカラン。
お店のドアが開く音。

「こんにちは、ランチ1つ」
「私も」

お昼の時間に合わせてやってきた荒屋さんと、続いて入って来た麗華。

「璃子ちゃん、調子が悪そうだね」

近づいてきた荒屋さんに顔を覗かれて、思わず体を引いた。