「子供の父親じゃないって、淳之介さん本人が言ったの?」
「ええ」

お姉ちゃんとは仕事で顔を合わせただけだって、はっきりと言っていた。

「本当に?」
「ええ」

どうしたんだろう麗華、様子がおかしい。

「ねえ璃子、私、淳之介さんを見損なったわ」
「どういうこと?」

昨日まで『許嫁です』って騒いでいたのに。急にどうしたっていうのよ。

「はい、これ」

鞄の中から、麗華が写真を一枚取り出した。

「なに?」

見ると、写っているのはお姉ちゃん。少しおなかが膨らんでいて、マタニティー姿。

「これって、」
「そう、お姉さんが妊娠中の一枚。でも、見てほしいのはお姉さんの隣に映る人よ」

ああ、えっと・・・

え、嘘。

今よりかなり痩せていて、髪の長さも違うけれど、この顔は・・・

「淳之介さんに間違いないでしょ?」
「う、うん」

他人の空似ではかたずけられないほどよく似ている。
これはきっと、いや間違いなく淳之介さんだ。

「これでも違うって思える?」
「いいえ」
さすがに無理。