「りこちゃん、はんばーぐおいしいね」
「そう、ありがとう」

病み上がりのくせにモリモリとハンバーグを頬張る登生。
この様子だと明日は保育園に行けそうね。

登生は食べ物の好き嫌いも虫歯もない。
もちろんわがままを言うときもあるし、時々姉を思い出して夜泣きをすることもあるけれど、手のかからないいい子だと思う。
こうして登生を引き取ってみると、姉が一人で登生を育てるのにどれだけの苦労をしたのだろうと考えてしまう。今でこそ自分の足で歩き自分の言葉で意思を伝えてくれるけれど、生まれた時はそうではなかったはずだし、生まれたての子供を抱え仕事もしながらの子育てを想像するだけで言葉が出ない。

「りこちゃん、おふろはいる?」
「そうね」

まだ髪や体が自分で洗えない登生には誰かが付いて入ってやらないといけない。
一緒に入って登生を洗ってやり、その後自分を洗おうとすると登生は上がりたくて騒ぎ出す。そんな時は「父親がいてくれればいいのにな」と思ってしまう。きっと姉もそう思ったに違いない。

そもそも、登生の父親は誰だろう。
私はどうしてもそのことが知りたいと思っている。