本当に久しぶりに味わう倦怠感。
自分の望んだ結果である以上、そのことに文句を言うつもりは無い。
だから、仕事にだっていつも通り行くつもりでいた。
それなのに、「お店まで送って行く」と言われ、降ろしたらそのまま出社するものと思っていたら、一緒に『プティボワ』に入ってきて、終いには「すみません、璃子の体調がよくなくて送ってきました」と、わざわざ挨拶までしてしまった淳之介さん。
当然マスターは苦笑いしていたけれど、これだけ声がかれていればきっと何か気づかれたと思う。

「璃子ちゃん、無理せずにね」
「はい」
これはもう何かの羞恥プレーでしかない。

カランカラン。
「いらっしゃいませ」

あっ。
入って来たお客さんを見て、声が出そうになった。

「璃子ちゃん、電話が繋がらなくて心配したよ」
「・・・すみません」
カウンター席に座る荒屋さんにお水を出しながらペコリと頭を下げる。

まさか淳之介さんが切ってしまったと言うわけにもいかず、とりあえず謝るしかない。
昨日の麗華との件はきっと荒屋さんの耳にも入っているはず。そう思うと、少し怖いな。