前菜からメイン、そしてデザートまで絶品のお料理だった。
もちろん素材もいいんだろうけれど、すべてに細かく手が込んでいて、一口一口に驚きがあった。

「どうだった?」
「こんなおいしいお料理は初めて」
「そうか、よかった」
満足そうな淳之介さん。

都内の一流ホテルの個室でこれだけのお料理を食べれば、一体いくらになるのだろう。
想像するのも怖いけれど、これが淳之介さんの日常なのかもしれない。
そう思うと、改めて住む世界が違うって感じてしまう。

「もう少し飲むだろ?」
「ええ」

今日は登生もいないし、こんな時でないと思いっきり飲むこともできない。

「ここはうちの実家が経営にかかわっていてね、融通が利くから璃子が酔いつぶれたら部屋をとってあげるよ」
「大丈夫。そんな事にはなりませんから」

どこから来る自身なんだと笑われながら、私も淳之介さんと一緒にワインを空けていく。
この時、自分でもこんなに飲むのは久しぶりだなと頭の片隅で思っていた。

ピコン。
メッセージの受信。
送り主が麗華だったから無視しようかと思ったけれど、逆に気になって開いてしまった。