【短編】純恋

夕日が教室に差し込む。

あたしは今、タケと教室に2人きり。

朝会の遅刻の罰で、今度のマラソン大会のポスターを作る事になってしまったから。

でもあたしは嫌ではなかった。

だって2人きり、今日で2回目。

「はぁー、これでいいかな?」

「お前なぁ…何でそんなに色のセンスねぇんだよ?折角絵も字も上手いのに…」

今日のタケはちょっと違うと思った。

いつもみたく悪戯してこない。

それに普段あたしをホメるなんて有り得ないのに。

「色のセンスは無いよーそんなの昔からじゃん!それより、タケがあたしの事ほめるなんて~熱でもあるんじゃないの?」

あたしは皮肉も少しこめて言った。

するとタケは、あたしの方を真剣にじっと見つめた。


…こんなのってアリ??っていうか何なのこの展開?


ドキドキしてるのがよく分かる。



「そっちこそ、いつもと違うじゃん」

それはあたしの服の事を言っているのだろうか。

それとも、あたしの態度が違う?

「俺は前のままの平塚が好きだったけどな」

…はい!?

それって…まさか!?

「友達としての好きだって思うなよ?」

「え、あ、うん。」

まさか…タケの好きな人があたしだったなんて…。

めちゃくちゃうれしい…。

あたしの体、きっとふるえてるに違いない。

嬉しい時は体が震える。あたしの特徴。

「んで、返事は?」

「あっ、と、OK…」

「…マジで?あれ??好きな人いるんじゃなかったのか!?」

タケはあわてふためいていた。

「…はははっ。まあいっか。もうポスターも終わったし。あたしももう帰らないと宿題できないし、帰ろう?」

「…うん。」