【短編】純恋

この服、大丈夫なのかなぁ…。

普段こんなボーイッシュな服を着た事がないせいか、違和感がある。

でも迷っている暇は無いんだ。

これでとにかく学校に行っちゃえ!

★★

ガラガラガラ。

「おはよー…」

教室のドアを開けると、そこには3~4人しか居なかった。

それもそうだろう。だってまだ8時。ここにいるのは、朝早くから仕事しなきゃいけない飼育委員。

用意を一通り済ませると、あたしはB棟の屋上階段に行った。

1人で居たい時とか、居場所がないと感じた時はここに来る。

今ここに来たのは2つ目の方の理由。

階段に座ると、後ろに人影を感じた。

ここに来る人なんて殆んどいないのに、誰だろう?

あたしは後ろを振り向いた。

「あれっ、タケ…」

そう。そこにはなぜかタケがいた。

…ん!?あたし、タケと今2人きり??

「珍しーじゃん。遅刻魔の平塚がこんな早くに来るなんて~」

「あんたこそ、こんな所にいるの珍しいんじゃない?あたしはいつもここにいるけど。」

タケはあたしの服が違うことに気づいたらしい。

そりゃここまで変えれば、いくら服を気にしないとはいえ気づかない方がおかしい。

「服いつもと違うんじゃねーの?まさかあいつに変な服教えられた?」

あいつとは美希の事だろう。

「変な服じゃないよっ。えっと、そのぉ…」

タケのタイプの女の仔になりたくて…とはいえなかった。

それは、言える方がおかしいだろう。

キーンコーンカーンコーン…

「ヤバッ!」
「ゲッ!!」

2人で同時に言葉を発してしまった。

「早く行くよっ!!」

そう言ってあわてて教室の方へ走った。