【短編】純恋

部屋のクッションに座り、今日の事を考えていた。

タケの好きな人?

いちばん心当たりのあるのは誰だろう…。

希(ノゾミ)?瑠璃亜(ルリア)?

生憎、あたしには人の心をのぞく能力はないので、誰かなんて分からない。

でも、どうであれ。

初恋で失恋とか…絶対やだ。

これは、意地でもタケと両思いになるべきだ。

あたしは一度思いつくとそれに向かって突っ走ってしまうタイプだ。

さっそく美希に電話しようと、美希の携帯の番号をプッシュする。

あたしは携帯を持っていないから家の電話でだけど、美希は携帯を持っている。

『もしもし、友梨?どうしたのいきなりかけてきたりして?』

「うん、あのね。ちょっと相談事なんだけど…」

あたしは美希に、今日あった事――タケに好きな人がいる事が分かった事。そして、両思いになろうと思っていること――を話した。

『そっかー。あたし小柳の好きなタイプ知ってるからさ、まずはファッションから替えてみよう?…そうだ!明日の放課後友梨の家で研究会しようよ!』

「…研究会か。それはいいかもしれない。ありがとう美希、じゃあ明日ね!おやすみ~」

あたしは電話を切った。

美希はクラスのトップ情報通(って言葉、あるの?)で、好きなタイプなんかはよく知っている。

クラスの女子の好きな人はほぼ網羅している。男子の好きな人も、半分くらいは知っているそうだ。

そんな美希にアドバイスをもらえるのはいいかもしれない。

…明日が楽しみ!