「そんなことない。香澄の料理は美味しいよ」
友樹が私の顔を見ながら左右に首を振った。
「じゃあ、なんで?」
グイグイ突っ込む奈子。
「……香澄が子どもを堕ろした後、鬱っぽくなったじゃん?」
ポツリ、友樹が言葉を零し出した。
「そうだね」
相槌を打つ奈子の隣で私も頷く。
「香澄の辛い気持ちは分かる。俺も苦しかったから。夫としてちゃんと香澄を支えなきゃって思ってたけど、毎日毎日そんな香澄と一緒にいて、どんどん俺の方も滅入ってきちゃって……。そんな時、香澄の後任に松岡さんが入ってきて、香澄のやっていた業務なら、香澄に聞いていたところは俺も分かるから教えたりしてて、それで『お礼に』って松岡さんがお弁当作ってくれるようになって……そうしていくうちに、正直、松岡さんに気持ちが動いた」
友樹の告白に、目が見開き、瞬きを忘れ、その目に涙が帯びた。
友樹が私の顔を見ながら左右に首を振った。
「じゃあ、なんで?」
グイグイ突っ込む奈子。
「……香澄が子どもを堕ろした後、鬱っぽくなったじゃん?」
ポツリ、友樹が言葉を零し出した。
「そうだね」
相槌を打つ奈子の隣で私も頷く。
「香澄の辛い気持ちは分かる。俺も苦しかったから。夫としてちゃんと香澄を支えなきゃって思ってたけど、毎日毎日そんな香澄と一緒にいて、どんどん俺の方も滅入ってきちゃって……。そんな時、香澄の後任に松岡さんが入ってきて、香澄のやっていた業務なら、香澄に聞いていたところは俺も分かるから教えたりしてて、それで『お礼に』って松岡さんがお弁当作ってくれるようになって……そうしていくうちに、正直、松岡さんに気持ちが動いた」
友樹の告白に、目が見開き、瞬きを忘れ、その目に涙が帯びた。



