21トリソミー

「どういうこと?」

 2人のやりとりが何だか挑発的に思えて、自分を置き去りに口喧嘩が始まりそうな予感がして、口を入れる。

「香澄に話してたとおり、今日人事にお弁当の件、話したんだよ。そしたら案の定、弁当女の契約更新はなくなった。弁当女と友樹の名誉を守る義務なんか私にはないから、他の職員にもこの件を話したのね。私、口軽いから。みんなびっくり仰天よ。だって、友樹が食べてたお弁当は香澄の手作りだと思ってたんだから。で、職員室や事務室は2人の話で持ちきり。弁当女は周りからの白い目に耐えられなくなって、体調不良って言って自主退社」

『あんだけの冷たい目に晒されたら、そりゃ具合も悪くなるかぁ』と奈子は元気一杯にケーキを頬張る。