21トリソミー

 リビングのテーブルに飲み物とケーキ用のフォークを置くと、奈子が早速紅茶を一口含み、

「ティーバッグの紅茶、ありがとう」

 と笑った。

「葉っぱから淹れてたら時間かかるでしょ」

 言い訳のような言い返しをしてみたが、

「葉っぱから淹れたことなんかないくせに」

 奈子に更に笑われた。

「自分だってないくせに」

 フンっと鼻を鳴らすと、

「まず、淹れようと思ったことがない」

 奈子が『それが何か?』とばかりの態度を取るから、

「だったら文句言うな」

 とむくれると、

「文句なんか言ってないじゃん。『ありがとう』って感謝してるのに」

 と、奈子がまた笑った。

「文句じゃなかったね。ありがとうに嫌味をいれたんだよね。ゴメンゴメン。どういたしまして」

 だから私も嫌味を返すと、「あははははー」と奈子が豪快に笑った。

 そんな私たちのやりとりに、

「もういい? 話しようよ」

 友樹が冷めた視線を飛ばした。