21トリソミー

「あの子が作るお弁当って、そんなに量多いの? 夜まで腹減らないって、どんだけデカい弁当箱なんだよ」

 奈子が嫌味ったらしく笑うと、

「…………」

 友樹が無言で奈子を睨んだ。

 気まずいを通り越して居た堪れない空気が醸し出されているが、逃げたいとは思わない。只ならぬ感じが、私の知りたい欲求を更に刺激した。

「奈子はどれにする?」

 友樹が食べないからと言って、ケーキを片付けるのは違うので、とりあえず奈子に選ばせることに。

「私が買ってきた手土産を、私が最初に選ぶの? 違くない?」

「違くない違くない。奈子、お客様だから選んでいいの」

「あ、そう? じゃあ、私チョコ」

「じゃあ私、チーズにしようかな。今、お茶淹れるね」

 奈子に紅茶を出そうとキッチンへ向かおうとすると、

「そんなのいいから話しようよ」

 奈子と私のどうでも良いやり取りに痺れを切らせた友樹が、苛立ちを口にした。