21トリソミー

 奈子を待つ30分、義両親を迎え入れる前かの様に、何故か私は念入りに掃除機をかけ始めた。奈子はよっぽど汚くしていなければ何も言ってこないタイプなのに。

 友樹も友樹で「ちょっと着替えてくる」と寝間着のスウェットから私服に着替えるべく、寝室へ入って行った。奈子は服装にうるさいわけではなく、裸でなければどうでもよいタイプなのに。

 2人共、ソワソワというかギクシャクというか、とにかく落ち着かなくて気まずくて、一緒にソファに座って奈子を待っていられる心境ではなかった。

 2人で無意味な動きをし続けていると、玄関のチャイムが鳴った。

 やっと奈子が到着した。30分が倍以上の時間に感じたのは、初めてだった。

 小走りで玄関へ行き、奈子を迎え入れる。