21トリソミー

 スマホの画面を見た途端に、握り潰したはずの疑念が弾力を増して跳ね返してきた。

 疑念というものは、そう簡単に晴れないものだ。

【誰?】

 信じると決めたはずなのに、指が勝手に犯人を聞き出す。

【香澄の後任で入った派遣の事務の女】

 奈子の返信の文字を見た瞬間に、顔も知らない女と友樹のやり取りが頭の中に広がった。

 私がしていた業務と同じ仕事なら、友樹も多少分かる。だから簡単に距離が縮まったのだろう。

【こんなに近くににいたのに、友樹を尾行するまで全く気付かなかった‼ やるな、アイツら。許せん‼】

《‼》のマークが奈子の怒りを物語っているが、奈子は何に対して憤慨しているのだろう。頭にきているのも、ショックなのも妻である私の方だ。