21トリソミー

「香澄、友樹に『誰からお弁当を作ってもらってるの?』って聞ける?」

「……聞いても、正直に答えるかな?」

 浮気をアッサリ白状する人間など、いるだろうか?

「突きとめようか? 教師なのか、生徒なのか、はたまた父兄なのか」

 友樹の擁護をやめた奈子が、私の目を見た。

 同じ職場にいる奈子なら、お弁当の相手を探し出せるだろう。

「いいよ、そんなこといなくて。……って言っても探るでしょ。どうせ」

 疎遠期間があったと言えども、何年友だちやってると思っているんだ。奈子はそういう女だ。気になることを放っておけない。

「いいよ、そんなことしなくて。……とか、言わないでしょ。どうせ」

 奈子が下唇を突き出した。

 奈子も私の性格を知っている。奈子の友だちである私も、そういう性格だ。だから私たちは友だちになったのだろう。