21トリソミー

「じゃあ、コンビニでプリントアウトしてくるわ。近くにあったよね? ちょっくら行ってきまーす」

 友樹のようなしょうもない人間を何百人も見て来たであろう弁護士さんは、友樹の抵抗などどうってことないのだろう。USBを握りしめ「ウチの子頼むねー」と奈子に手を振って家を出て行った。

「…………」

 弁護士さんがいなくなると、また流れる地獄の空気。誰も何も喋らない。というか、弁護士さんのおかげで全ての取り決めが終わったので喋ることもないのだ。それなのに、この場を離れるわけにはいかないのがしんどい。

「……赤ちゃん、かわいいわね」

 そんな中、お義母さんが口を開いた。目を細めて赤ちゃんを見つめるお義母さん。

「残念ですね。法律では香澄に、お腹の子どもを義両親に会わせなければいけない義務はないので、孫の顔すら見られないかもしれませんね」

 冷たく言い放つ奈子の言葉に、お義母さんは「そんな……」と悲壮の表情を浮かべ、その義母の顔を見た友樹が申し訳なさそうに肩を竦めた。

 奈子はきっと、お義母さんを攻撃したかったのではなく、『お前のせいで親が悲しむことになっているんだぞ』と友樹に分からせたくて言ったのだろう。