21トリソミー

 こんなとき、どうするのが正解なんだろう。どんな言葉を掛けるべきなんだろう。何か行動を起こすことが同情に結びつきそうで、奈子の様子に気付いておきながら、結局私は何もしなかった。奈子のデリケートな問題に、最近聞いたばかりの私が知ったような顔をして気軽に触れるのは、やっぱり違うと思ったから。だから、知らん顔。これが正解とは思わないが、間違ってもいないはず。

 それに私は今、自分以外の人間を気にしている場合ではない。義両親との話し合いという、戦前なのだから。

 心臓がドキドキでもなく、バクバクでもなく、きゅうっと握られている感じの痛さを感じる緊張を感じながら歩いていると、友樹の実家に辿り着いた。

「ココだよ」

 友樹の実家を指差すと、

「へぇ。じゃあ、ベル押して」

 他人事故、全く緊張などしていない奈子が、人差し指を出したままの私の手を掴み、そのまま玄関チャイムの前に突き出した。