21トリソミー

　奈子ならどうにかしれくれる気がした。だって奈子は松岡さんを退職に追い込んだから。

「じゃあ、一緒に行こう」

『私、有休貯まりまくってるから、いつでもいいよ。日にち決まったら連絡して。じゃあ、切るね。お昼ご飯食べる時間なくなるから』

「うん。午後も仕事頑張って」

　電話を切って、私もお昼ご飯を再開。また野菜炒めを口に運ぶ。

「ん？　味薄い」

　さっきまで何も考えずに淡々と口に入れるだけで味わいもしなかった野菜炒めの味が、今した。

　キッチンへ行き、胡椒を持ってダイニングに戻る。

「うん。美味しい」

　胡椒を振った野菜炒めは、さっきより味がしっかりした。

　食べ物を美味しく食べたい欲が出てきた私は、奈子に期待をして少し元気を取り戻したらしい。