21トリソミー

『友樹、舐めまくってるね。これは、制裁が必要』

「無理でしょ。だって、法的には不倫じゃないんだもん。『友人です』で通ってしまうじゃん」

 こんなに辛い想いをしているのに、私の苦痛には慰謝料が1円も発生しない。法律的には、勝手に私がひとりで苦しんでいるだけなのだ。

 悔しくて、野菜炒めに八つ当たりするように、箸で人参をグサグサと刺した。

『友樹の親はこのこと知ってるの? 妊娠のことは言った?』

「友樹が話してないなら、知らないと思う。私からは言ってない。妊娠のことも、安定期に入るまでは黙ってるつもり」

『それ、どっちも言いに行かない?』

 奈子が思いもよらぬ提案をしてきた。

「言ってどうするの?」

『ていうか、私が言う。一緒に友樹の実家に行こう』

 戦闘モードの奈子の発言は大暴走。