「既に発狂してるじゃん。香澄が尋ねて来たとき、『やべぇ。半狂乱がやって来た』って思ったもん、私」

「ヒドイ。てか、そりゃ怒り狂うでしょうよ」

「確かにね。私に話してちょっとは落ち着いたでしょ。ピザでもデリバリーする? 腹が減ってると余計にイライラするからね」

 奈子がしかめっ面の私に、ピザのメニューが映るスマホの画面を見せた。

「奈子がいてくれて良かったよ。……サイズ、Lでいい?」

 怒りで大量のカロリー消費をした上に、お腹に子どもがいる私の胃袋はスッカラカンだった。

「好きなものを好きなだけ頼みなさいよ。私は何でもいいから」

 奈子がスマホから手を離した。なので自動的に私は注文役を拝命。サイドメニューのチキンやサラダやアイスも勝手に注文してやった。

 怒りのパワーとは恐ろしいもので、届いた食べ物は勢いで完食。お腹いっぱいになったおかげで眠気がやって来て、この日はぐっすり眠れた。

 奈子の部屋にきて本当に良かった。もしあのまま自宅にいたら、怒りに震えて眠れなかったと思う。