「私、お腹の子に障がいがあろうとなかろうと、大切に育てるよ。何人産めるか分からないけど、全員幸せにする。誰も犠牲になんかしないから」

 奈子に宣言して、残りのランチを一気に平らげてパフェを待ちうける。

「有言実行してよね。意気込みだけなら誰でも言える」

 奈子も負けじと目の前のセットを次々と口の中へ放り込んだ。

「舐めんなよ」

 奈子を睨むと、

「出産、頑張れよ」

 微笑みを返された。

「ねぇ、まだ『おめでとう』って言われてないよねぇ?」

「催促すんなよ。激励だけじゃ足りないのかよ。ハイハイ、おめでとう」

 奈子は面倒くさそうに祝福の言葉を口にしたけれど、

「ありがとう」

 それでも嬉しかった。奈子はイイヤツだけど、素直じゃないから面倒なフリをしただけで、ちゃんと祝意があることは分かっているから。

 そんなあまのじゃくな奈子と、デカイパフェで腹をはち切れかけさせて苦笑いするハメになるのはすぐ後の話。