女は男に抱かれるもの。だと思っていた。でも、それから私は排卵日が近づくと、自ら服を脱ぎ捨てて友樹に覆いかぶさり、抱いた。

 傍から見れば、抱いてもらえない女など可哀想で虚しいと思われるだろう。だけどね、そんなんじゃない。もう私は、そんな次元にいないんだよ。

 奈子はきっと、私の行動が異常に感じているだろう。冷静になろうと思えばなれそうだけど、冷静に心の傷に向き合えば、多分私の心はまた壊れてしまうだろう。だから私は、わざと頭のねじを1、2本抜いた。これ以上、悲しみを受け止められない。受け入れられない。

 そんな状態が3ヶ月続いたある日、生理が止まった。

 逸る気持ちを抑えきれないまま、近所のドラッグストアへ向かい妊娠検査薬を手に取った。

 結果は陽性。その足で産婦人科に受診。

 間違いなかった。私のお腹に、赤ちゃんが宿った。