『気持ちは分からなくはないけどさ、それで子作りは違くない?』

「違うかな? 妻が夫との子どもを欲するのはおかしいの? 普通じゃないの?」

『だって、友樹の気持ちはもう他に行ってるんだよ?』

「それでも夫婦だもん」

『…………』

 奈子は、何を言っても私が『それでも夫婦』という言葉でねじ伏せることを悟ったのだろう。私に反対意見を言うのを諦めた。

 友樹の気持ちは松岡さんへ移った。でも、戻ってくるかもしれないじゃない。触れられない松岡さんより、触れる私の方がいいはずじゃない。

『……子どもは夫婦を繋ぎ止めるための道具じゃないからね?』

 私を否定するのを辞めた奈子が『分かってるよね?』と、確認のような釘を刺す。

「当然でしょ」

 子どもは、愛の証で、愛のかたまりだ。だから、欲しいんだ。