翌日、電話で奈子が帰った後の話をすると、

『……はぁ⁉ 香澄と私は本当に悉く意見が合わない。別れない選択肢なんてあるの⁉』

 奈子はやっぱり私の取った行動が理解出来ない様子だった。

 私も、こんなに考え方の違う奈子とどうして友だちになれたのだろうと思うが、何故か気が合うのが不思議だ。

「友樹も困惑してたよ。『それは愛情じゃなくて執着だ』って言われたし」

『【執着】っていうより意地でしょ』

 奈子が『フッ』と乾いた息を漏らして笑った。

「意地張ってないと、子ども堕ろした時みたいに鬱っぽくなりそうでさ。正直、結構ダメージ受けてる。ダメージに負けてまたあの苦しい状態に戻りたくない。友樹と松岡さん、いっそ身体の関係を持ってて欲しかった。気持ちだけ繋がってるって、あまりにも本気で、あまりにもキツイ」

 辛さを溜めこむのも苦しいが、吐き出した言葉が自分の耳から入ってきてしまうのも、精神を削り、抉られる。