21トリソミー

「……松岡さんから、告白とか……されてないの?」

 松岡さんが友樹に好意を持っているのは明確だ。だけど、その想いを友樹に伝えていたのか。中学生のような言い方だが、二人は両想いである自覚はあったのかが知りたい。もし、友樹と松岡さんが想いを口にせず、お互いの気持ちをしっかり確認していない状態なら、今回のことは目を瞑ろうと思った。『相手は自分のことが好き』ではなく『相手は自分のことが好きかもしれない』の状態で留まっているのなら、時間が経てばふたりの気持ちも落ち着くだろうと思ったから。

「……されたけど、断った。俺と付き合ったら、松岡さんが慰謝料を払わなきゃいけない立場になるだろ」

 だけど私の想いはあっけなく砕かれた。

「はぁ⁉ その言い方だとさ、『慰謝料を払わなくて済むなら、香澄と別れて弁当女と付き合いたい』って風に聞こえるんだけど」

 奈子が友樹に放った言葉が、私の胸を抉る。