君と手を繋いで宿へ戻る。中居さんが部屋へ案内してくれた。

 「こちらになります。」

 「こんな豪華な?」

 君は驚いて聞く。だって、ダブルベッドに室内浴室。とても6000円とは思えない宿だった。

 「サービスでございます。」

 「ありがとうございます。」

 君はおずおずと部屋の調度品を確かめていた。

 「冷えちゃいませんか?」

 俺達は雨に濡れていた。君は少し恥ずかしそうに俺に言う。

 「入って…いったら?」

 「え。」

 「私、浴場へ行きますから。ここで入っちゃえば?」

 どうしようかと迷っていると、君は俺の手を引いて浴室へ誘う。

 「いいんですか?」

 「え?」

 「俺、図々しいなって。」

 「図々しいのはわたしの方。」

 「そんなこと。」

 君は優しく微笑んで、俺の手を取る。そして言ったんだ。

 「優しさを利用して、ごめんなさい。」

 俺はたまらない気持ちになって、君を抱き締めて。

 「構わないです。高井さんがそれで喜ぶなら、俺は構わないです。」

 「今日だけ、紫陽花になっちゃおうかな。」

 「紫陽花に?」

 「そう、雨に降られるの。」

 抱き締める腕に力が入る。君の唇を奪って味わう。

 「高井、、、すみれさん。」

 「はい。」

 「すみれさん。」

 「はい。」

 優しく髪を撫でながらキスを繰り返す。

 「すみれさんが欲しい。」

 優しく服を解いて、抱き締める。肌は滑らかで、そっと指の腹でなぞると君は息を飲む。

 「綺麗だ。」

 「先にお湯に浸かりましょう。」

 「駄目。」

 唇を重ねて、身体を探検すると君は熱い息をしながら俺に力を入れてしがみつく。

 「もう、許して。」

 「じゃあ、風呂で休憩。」

 残された服を脱ぎながら、君と湯へ身体を浸した。