車を取りに駐車場へ向かう。ウキウキして軽くなる足取り。通りかかった母親が妙な顔をする。

 「出掛けるの?」

 「ちょっとお客さん送ってくる。」

 「お客さん?」

 母親は呆れた顔をする。

 「どんなお嬢さん?」

 女って怖い。全てお見通しか。

 「いや、えらい綺麗な人。」

 それだけ言って行こうとすると、母親は笑って言った。

 「どこ連れてくの?」

 「いつもの、居酒屋。」

 「ちゃんとしたとこ連れて行けないの?山城屋行ってきなさい。」

 手を振りながら駐車場へ歩きながら、今更ながら家族のお節介にため息をついた。