「那奈も、変なこと言うなよ」
「うん。・・・あ」
「あ・・・」
私と湊は“しまった”という顔をして黙った。
なんとなく暗黙の了解でお互いを名字で呼んでたのに。
「何慌ててるの?いい加減名前で呼べばいいじゃん」
優花が、何も気にしてない感じで言った。
「幼なじみなんだから、当たり前じゃん」
「まあ、そうだけど」
優花の言葉に、何だか気が抜けた。
今まで気にしてたのが馬鹿みたい。
「ってか、よく1年以上も名字呼びできたよね」
「え、頑張ってたのバレてた?」
湊が食い気味に言った。
私も同じこと思ってた。
「バレバレだよ。幼稚園からの幼なじみだって言ってるのに、なんかお互い言いにくそうに名字で呼び合ってるんだもん」
「渡部、洞察力すごすぎ」
私も湊に同意見。
結構自然に“井上くん”って呼んでたつもりだったんだけどな。


