「山本くん?」
「あ、いや。あ、髙橋さ」
あ、話題変えたな。
「始業式の日、隣のクラスだから今までとあんまり変わらないって言ってたけど、どう?」
「え、どうって・・・」
クラスには山本くんほどのムードメーカーがいないから割と静かだし、前みたいに話す機会もあんまりなくなった。
隣の教室から山本くんの声が聞こえると、行きたくなる。
「やっぱりあんまり変わらない、と、思う」
なんだか少し恥ずかしくて正直には言えない。
「歯切れ悪いなー」
「別に、そんなことないよ」
「そういうことにしとくか」
山本くんにはバレてる気がする。
「あ、そうだ。これ」
急に歩みを止めた山本くんは、自転車のスタンドを立てた。
だから、私も同じようにする。
エナメルバッグをがさごそとし、小さい紙袋を取り出した。
「何がいいか分からなかったから・・・。あと、1日遅れてごめん」
『昨日タイミングなさすぎて』と頭をかく山本くんから、紙袋を受け取る。
中をのぞくと、“Happy Birthday”のシールが貼られた小さな箱があった。
「え、ありがとう。でも、何で?私誕生日言ったっけ」
「湊が言ってたから。一昨日慌てて買いに行ったから、ごめん。来年はもっとちゃんとしたの渡すから」


