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「ごめん、遅くなった!」
靴箱で座って本を読んでいると、外から山本くんが走って入ってきた。
「走らなくていいのに」
「いや、待たせてるし」
「汗だくだよ」
私は鞄に本を入れ、その代わりタオルを出して渡す。
「いや、悪いって」
「使ってないやつだから」
「尚更悪いって。自分のあるから」
山本くんは肩にかけていたエナメルバッグからタオルを出して、頭をがしがしと拭いた。
「結局、お互い平日が部活ない日なんかほぼなかったな」
自転車を押しながら歩く。
山本くんは『家まで送る』って言ってくれたけど、お母さんに見られたらまずいし、私の家までは自転車で40分くらいかかるから、丁重にお断りした。
「そうだよね。今日みたいに休日の午前練だったらたまにあるけどね」
「あー、もっと髙橋とあ」
「ん?」
山本くんは何かを言いかけて途中でやめた。
何を言おうとしたのか気になって見上げてみるけど、気まずそうにしてるだけで何も言ってくれない。


