「それにしても、困ったね。いつも話してるから話すだけなら怪しまれないけど・・・」
そうなんだよね。
ただ話すだけならいい。
でも、今回は渡すものを持って、会わないといけない。
「こうしよう」
「え?」
未知は何かを思いついたようで、右手で拳を作って、左手の手のひらに打ち付けた。
「放課後、那奈は教室かテラス、どっちか人がいない方にいて。私は早く教室を出て山本を待ち伏せるから・・・」
よくこの短時間で思いついたなと思う作戦を、未知は詳しく教えてくれる。
その作戦は、こう。
1⃣ 私が未知に貸した本を、今日返す約束だったのに返すのを忘れて未知は靴箱まで行ってしまう。
2⃣ 急いで帰らないといけない未知は、教室に戻る時間がない。
3⃣ 靴箱に現れた山本くんに、本を託す。
4⃣ 山本くんと私が会える。
ただ、もし人が多くて渡せる感じじゃなかったら、とりあえず一緒に帰って、タイミングを探る。


